U2のフリー戦略が失敗か。この2600万ダウンロードが一つの限界点。|SEOと広告とインターネッツ      

2014年10月16日木曜日

U2のフリー戦略が失敗か。この2600万ダウンロードが一つの限界点。

超人気ミュージシャンのU2の最新アルバムが丸ごと無料ダウンロードできるキャンペーンが失敗したかもです。


U2がアップルと組み、最新アルバムを無料でダウンロードでるというプロモーションだったのですが、
当然喜んだ人は多かったものの、同時に多くのユーザーから「無料でも勝手にiPhoneに入れるな」といった苦情が来るわ、
バンドメンバーが謝罪コメントを出すわで、
悲喜こもごもといった様相を呈しています。

個人的に気になったのは、
他のアルバムのセールスやライブやファンクラブ加入といった、トータルセールス面への影響でした。

これは書籍で言えばクリス・アンダーソンの『フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略』や、
ブライアン・ハリガンの『グレイトフル・デッドにマーケティングを学ぶ』で提唱されている戦略をほぼなぞったようなものですが、
それを世界的に大々的にやるような事案はそうそうない訳で、
この戦略の結論を楽しみにしていました。

さてその結果の一部が既に出ており、
この最新アルバムだけで2600万回のダウンロードだったそうです。

これは多いのか少ないのか…
AndroidユーザーとかはYoutubeコンバータ辺りをつかったのでしょうか?

iTunesユーザーは世界で5億人。その約5%がu2の最新アルバムをダウンロードした事になります。
今は既に有料ダウンロードに切り替わってしまっており、
セールスの報告が待たれるところですが、
ライブ動員数やその他セールスへの影響は少なからずあるだろうと、個人的には思います。
だってU2の事を思い出した人、多そうでしたから。完全に自分の周りを見ただけですが。

また今回のアルバム制作費はアップル持ちで、
U2の音楽をアップルのプロモーションのため無料配信する権利をアップルが獲得した…
という背景がありますが、アップルにとっては制作費が丸ごと広告費だったという事です。

世界的に一部のダンスミュージック以外は苦境にさらされる音楽業界ですが、
こうした新しい試みはどんどんやるべきだと思います。

そして、今回のU2とアップルのプロモーションで、
ひとつ大きな教訓がありましたね。

それは、人気アーティストの最新アルバムがたとえ無料であっても、
一方的にiPhoneに入れられれば多くの苦情も同時に受けてしまうという事。

フリー戦略は一種のコンテンツマーケティングともとれる訳ですが、
基本的にコンテンツマーケティングは無料でやるべきものであって、
しかしそのやり方にも限界はあって、今回のU2の件のように、
無料であってもいらない人だっているという事。

今回のU2の2600万ダウンロードというのは、一つの限界だと思います。
この数字を超える事はほとんどのアーティストにとっては不可能です。
つまり、ここが、コンテンツマーケティングやフリー戦略の一つの到達点の限界ともとれる訳です。

今回のU2とアップルのプロモーション戦略、
まだまだはっきりした結論を得るには早尚ですが、
学ぶ事は非常に多かったと思います。